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経営基本方針~私の経営思想~

「医は仁術」

「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救うを以て志とすべし。わが身の利養を専ら志すべからず。天地のうみそだて給える、人を救い助け、萬民の生死を司る術なれば、医を民の司命という、きわめて大事の職分なり」 ~貝原益軒『養生訓』より~

【口語訳】
「医は仁術」である。「仁愛の心」を基本とし、人を救うことを志としなければならない。わが身の蓄財欲のみを志としてはならない。医術は、天地が生み育ててくださった、人を救済し、万民の生死を司る術であるから、医者を「民の司命」といい、極めて大事な職業である。

 

「医は仁術」という言葉は、江戸時代の儒学者、貝原益軒の『養生訓』の一説として有名だが、古来より伝統的な日本の医療倫理を表現した代表的な標語である。その思想的根源は、日本最古の医書『医心方(いしんぽう)』(982年)にまで遡る。また、仁術の「仁」とは、「思いやり」「慈しみ」のことであり、儒教における最重要な「五常の徳(仁・義・礼・智・信)」の中でも最高の道徳とされている。医療の原点は、苦しんでいる人を救いたいという、他人を思いやり、慈しむ気持ち「仁愛の心」にある。

私たちが今後、治療家という職業を歩んでいくうえで、自分たちが「医療人」であることを、今一度強く自覚してほしい。

 

現実世界の実相は、「役割分担」である。職業や仕事にはそれぞれに与えられた役割・使命が存在し、世の中の全ては、誰かの仕事で成り立っている。またそれは、職業や仕事だけの話ではなく、家庭のなか、学校のなか、地域社会のなかでも同じことで、父親には父親の役割が、母親には母親の役割が、年長者には年長者の役割が、ルールとして規定されてはいないが、道徳上必ず存在する。

言うまでもなく、医療の役割とは人の生命を救うこと、病気やケガを治し、病んでいる人を健康体にすることである。
医療は医学の進歩とともにさらに細分化される。内科・外科・小児科・産婦人科・歯科・眼科・皮膚科・脳神経外科・整形外科…などなど、診療科目で分けて役割分担をして専門性を高めているのだ。

医療の中で、骨、関節、靭帯、腱、神経、筋肉など、人が快適な生活を送るのに必要な“運動器“のケガや疾患を治す専門科目は整形外科であるが、整形外科は西洋医学の思想が強く、あまりにも部分的である。

 

「整形外科に行ったけど、レントゲンを撮って“骨に異常はないです”と言われ、あとは何もしてくれない。」

「シップだけ出されて“しばらく様子を見てください”と言われました。」

今までに患者さんからこの言葉をどれだけ聞いてきたことか…

 

整形外科は手術を必要とする大きなケガや、レントゲン・MRIなどの精密検査には強いが、日常の暮らしの中で起こるケガや痛みに対して、あまりにも頼りない治療しかしていないのが現状ではないだろうか?だからこそ整骨院・鍼灸院・マッサージ院・整体院などがこんなにも増え続けているとも言えるが、私たち治療家は、本来「整形外科」がやるべき分野の「医療」をやっているのだ。

だから私たちは、紛れもなく「医療人」でなければならない。そして医療とは、時代がどんなに変わろうとも、人間が生きていくうえで必ず必要な存在である以上、私たちの仕事は、国家国民のための仕事、「公の仕事」だと言えるのではないだろうか。そのことを強く自覚し、「医は仁術」の精神で、使命感と仁愛の心を持って、治療家の道を歩んでほしい。

 

「物心両面の幸福」

しかし、治療院を運営していくことはボランティアではない。経営とは「儲けてなんぼ」の世界である。資本主義は競争が原理であり、日々、商品やサービスが売り買いされ、お金の取り合いをしているのが実態である。金儲けを汚いものと考える社風の会社では、とても生き残ることなどはできない。もちろん、金が全てだとは毛頭思わないが、どんなにキレイ事の理屈を言っても、御託を山ほど並べても、現実に不幸の大半が、金で解決していることを、私はふてぶてしく、真正面から認めたい。人間の三大不幸と呼ばれる「貧乏・病気・争い」でさえも、金で解決が可能だし、金がないと打ちのめされてしまう。

人間が、明るく、豊かに、幸福に暮らしたいと願う心は、誰もが持つ不変の情だと思う。自分の家族のためにも、社員と、その家族の幸福のためにも、誰に恥じ入ることなく、正々堂々と、どこの治療院よりも売上利益をしっかり稼いでいきたい。人生は一度しかないのだから、自分の大切な人たちが、安心して幸福に暮らしていくために努力することは、人間としての当然の務めではないだろうか。

 

もちろん「人はパンのみに生きるにあらず」であり、人は物質的な満足だけを目的として生きているのではない。精神的満足や充実も大切である。幸福とは、つきつめれば「幸福感」というフィーリング・感性であり、本来、自分の外にあるものではなく、自分の心の内側にあるものだからだ。

私たちが生涯幸福に働き続けるためには、治療家という職業への誇りや自負を持つこと。成長していく喜びを感じること。「自分の仕事は社会の役に立っている!」という、貢献の手応えや実感を深めることが必要である。

 

人は、順境のときには「自分だけの喜び」や「生活費を稼ぐこと」が目的で働くことができるが、苦しい時、逆境の時は、それだけではとても自分の心を支えきれない。
社会の現実は厳しく、荒波は激しい。長く仕事を続けていれば、泣きたいときも、苦しいときも、逃げ出したくなることも、必ずやってくる。楽な仕事などはない。使命感に燃え、誇りを感じ、成長する喜びや他者への貢献の手応えがなければ、充実して働き続けることは困難である。「自分は一体何をやっているんだろう?」「この仕事に何か意味があるのだろうか?」こういった仕事の価値の無自覚、自己肯定感の欠如こそ、長く働く上での最大の敵となる。
「自分が頑張ることで、身近な人たちみんなが豊かになっていくんだ!」「医療という国家国民のための大事な役割を担っているんだ!」と、誇りを持って仕事に取り組んでほしい。

 

「人の成長が会社の成長」

経営において、必要不可欠なものを経営資源と言う。いわゆる「人・もの・金・情報」に代表されるものである。
治療院運営の場合、大事な点はいろいろある。技術面・店舗の立地・利便性・スタッフの能力・治療設備・広告宣伝・資金の面、それぞれに大切である。しかし、それらの中心をなすものは何かというと、それはやはり「人」である。治療をするのも人、治療院の運営をするのも人、さらに適切な情報が集まるかどうかも人にかかっている。
それだけに、会社にとっては、人材の育成ということが大切になってくる。「企業は人なり」と昔からよく言われるが、まさに、人を育て、その人を十分に活躍させていくことが経営の要であり、人の成長こそが会社の成長、会社の差とは人の差なのだと言える。

 

人材育成のなかで、仕事上の知識、技術を習得させ、向上させるといったことが必要なのはいうまでもない。そうしたものが疎かになっては、仕事をスムーズに進めていくこと自体が難しい。だから、日々の仕事の中で、そういう実務の面の向上を図っていくことは当然なされなければならないが、それ以前に、もっと大切なことがある。
それは、経営者なり院長なりに、何のためにその会社の経営をするのか、その治療院の使命は何かということが、十分明確になっているかということである。
そしてそれが治療院で働く人々すべてに把握されていること、これが何よりも大事である。

 

「人は、何のために生きているのだろうか?」この哲学的な問いに、答えられる人は少ない。そもそも答えなんかないのかも知れない。しかし、この問いに迷いなく即答できる人の生き方は強いと思う。それは法人でも、職業でも同じことである。「ウトプロジェクトという会社は、何のために生きているのか?」「私たち治療家は何のために生きているのか?」その問いの答えこそが「経営理念」であり「使命」なのだ。
また、別の言い方をするならば、現実の荒波や、激しい潮流に呑まれそうになった時に、流されてしまわないための「重い錨」でもあり、旅人が道に迷いそうになった時、見上げればそこにある「北極星」のようなものとも言える。人間は、自分の存在意義・存在目的・自分の使命というものがハッキリわかった時が一番強いのだ。

治療院はチームプレーである以上、様々な価値観を持つスタッフ同士が、協力しあって目標を達成するには、日々ベクトルを合わせていかなければならない。個々の力を同じ方向に揃えることができなければ、結局組織の力は強くならず、患者さんに提供できることも増えてはいかない。たとえ、スタッフの数が多くて、設備も整っていて、資金が豊富でも、それを患者さんに向かってどう活かすかは「人の心」次第なのである。
共通した目的、使命感こそ、組織の力強い求心力となり、そのうえで、理想の治療像、治療院像、毎月の目標数字を共有し、それぞれが果たすべき役割を、チーム全員で理解しておくことが大切だ。

 

「真の支配者は患者さん」

そして何より、働く幸福も、豊かな生活も、すべては患者さんが与えてくれるということを、私たちは片時も忘れてはいけない。

会社や治療院の支配者は、社長や院長ではない。真の支配者は患者さんである。客商売がお客様を忘れ、治療家が患者さんを忘れたら、そもそも会社や治療院の存在価値すら無くなってしまう。患者さんのほかに、私たちに売上や利益を与えてくれる存在は誰一人いないし、患者さんのお役に立つこと以外に、仕事のやりがいや貢献の手応えを感じることはできない。常に患者さんに顔を向けて、患者さん目線でよく考えて、患者さんに尽くし続けることが仕事の本質である。

 

「進化論」を説いたダーウィンは、その著「種の起源」で、「最後まで生き残って栄えるものは、強いものでも、大きいものでもない。まして、頭のよいものでもない。時を超えて栄える種は、環境に適応して、自らを変革できるものだ」と書いている。
世の中や人の心は常に変化している。私たちは、常に変化し続ける患者さんのニーズや潜在願望を見極め、時代の流れを俯瞰し、これに合わせて治療院や治療方法、サービスを変革し、作りかえていかなければならない。

 

「天から課せられた使命」

たった一度の人生。あせらず、いそがず、大道を踏み外さずに、常に、医療人としての責任を果たすことと、社員みんなの幸福を願いながら、いい治療院を作っていきたい。一寸先は闇ではなく、光であると信じて、社員の心に光が灯るような、明るい希望の見える、いい会社を作っていきたい。我が身を挺して、他者に頼られ、強く必要とされる生き方を、花のある生き方を、見事に貫きたい。

 

偉大な思想家・中村天風さんは、
「人間は本来、誰でも、何事をも、自分自身が深く思い 考えたとおりに成すことができる。つまり、すべては自分が、自分自身に課した信念のとおりになる。」と言っている。

私たちの新たな繁栄も、苦難も、幸福も、不幸福も、結局すべては自分の心の中にあると、私はそう信じている。

 

ハイスピードで変貌していく治療院業界の中で、競争はますます激しくなり、接骨院、鍼灸院、整体院、リラクゼーション店などを合わせた店舗数は、全国で9万店~10万店にものぼり、業績を落とすお店や会社も数多い。

私はリーダーとして、全社員とその家族が明るく豊かな生活を営むために、また、治療家としての誇りと成長、喜びを感じる働きがいのために、私心を捨て、ひたすら精進し、理念を固め、戦略を練り、工夫し、お客様第一主義を唱え、厳しさと愛情を持って社員を育成し、あらゆる困難に立ち向かい、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、この道以外は歩かない。

 

有限会社ウトプロジェクト

代表取締役社長 宇都啓二

(ウトプロジェクト事業発展計画書より一部抜粋)