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社会保険の基礎講座

柔道整復師のための社会保険基礎講座

社会保険は事業主側が社会保険料の50%を負担するため、整骨院では未加入のところがまだまだ多いのが現状です。組織化グループ化を進めている整骨院では加入率が高いですが、1院でやっている整骨院ではなかなか加入することが難しいかもしれません。新宿ライオンハート整骨院グループではもちろん社会保険完備にしていますが、若い柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師さんの中にはそもそも社会保険制度自体の仕組みを理解していない人も多いので、簡単にまとめたものを記述しておきます。

 

社会保険とはこんな制度

社会保険とは、会社で働き始めた時に加入する「健康保険」「厚生年金」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」をまとめて社会保険といいます。
社会保険料は加入者ひとりひとりが直接どこかへ支払うというものではなく、毎月のお給料から保険料を会社と折半した金額を会社が預かり、会社がまとめて支払います。

健康保険

病気や怪我で病院に行った時には健康保険証を出しますよね?恐らく私達が一番よく使用しているであろう健康保険に加入している事で受けられる保障のひとつです。健康保険証が無いと診察をしてもらえない、というわけではなく、健康保険が適用される医療費は加入者である証を提示すれば原則として自己負担割合は3割でいいですよ、という制度です。
性別や年齢の区別なく学生でも社会人でも日本の全ての国民が加入しなければならない制度です。社会保険の中に含まれる「健康保険」と、自営業者等が加入する「国民健康保険」の二つに分かれています。

厚生年金

現在の若者が年金をもらえる年齢になった時には雀の涙ほどになっているのでは、と噂されている老齢年金が一番馴染みがあるのではないでしょうか。サラリーマンやOLの方等の民間企業に勤めている労働者が加入する公的な年金制度です。
老齢年金の他に、障害年金や遺族年金等の種類があり、これらをまとめて厚生年金と呼びます。
厚生年金とは別に国民年金という制度もありますが、似ているようで全く違う制度です。

介護保険

いつまでも健康でいたいとは思いますが、年齢を重ねるにつれて病気や怪我などによって寝たきりになってしまう可能性が高くなります。その時に介護が必要になる事もありますが、家族だけで支えるのも限界がありますね。その時にみんなで支えあって、介護をするご家族の経済面や体力の負担を軽くしましょうという制度です。
健康保険や公的年金とは違い、40歳になった月から加入します。健康保険とセットになっているので加入するための特別な手続きはありません。

 

 

社会保険加入のメリットとデメリット

メリット① 年金が増える

社会保険に加入することで、将来もらう「年金」を増やすことができます。社会保険に加入すると、全国民共通の基礎年金に加えて、在職中に支払った額に応じた金額を上乗せした厚生年金を受け取ることができるのです。
また、厚生年金保険の加入期間が長ければ長いほど、将来上乗せされる年金の額も増えるのです。たとえば、厚生年金保険に40年間加入し、毎月8千円の保険料を納めたとします。すると将来受け取る年金に金額は毎月1万9千円増えることになります。
この半分の20年間加入した場合は、毎月8千円納めたとして将来受け取れる年金は9千7百円増えることになります。ちなみにこれは報酬が8万8千円である場合として考えたものです。月収が増えれば比例して納める金額が大きくなりますが、将来受け取れる年金の金額も増えるという仕組みです。
さらには、社会保険に加入することで国民年金だけだと、1級と2級しか受給できない障害者年金が受給できるようになります。社会保険に加入することで、1級の場合は障害者基礎年金1級と障害者厚生年金1級が、3級の場合は障害厚生年金3級が受給できるようになるのです。
障害者年金だけでなく、老齢厚生年金と遺族厚生年金を受給できるようになります。老齢厚生年金は、加入期間の報酬額によって違いが出てきますが、国民年金だけに加入していた時より多くの年金をもらうことができます。遺族厚生年金の場合は、国民年金より受給要件が緩和されているので遺族の方が幅広く受給できるようになるのです。

メリット② 医療保険の給付が充実する

社会保険に加入することは、年金だけでなく医療保険の給付が充実する可能性が高くなります。医療給付の内容に関しては、各医療保険制度共通で基本的に大きな差はありませんが、一部の現金給付、傷病手当や出産手当などに差が出てきます。
病気やケガ、出産などで仕事を休まなければならなくなったとき、傷病手当や出産手当として賃金の3分の2程度の給付を受け取ることが可能になるのです。
たとえば、怪我や病気を理由に3日連続で仕事を休まなければならなくなったとき、給与の支払いを受けられないなどの条件を満たしているのならば4日目以降に傷病手当の受給が可能になるというシステムです。こういった保障制度が手厚いのも、社会保険に入ったときの大きなメリットになります。
また出産のために働けなかった場合は、産前(42日)、産後(56日)の合計98日間は、月給の約67%を出産手当として受給することが可能になるのです。

 

メリット③ 会社が保険料の半分を負担してくれる

国民年金や国民健康保険では、被保険者が保険料を全額負担するようになります。しかし厚生年金保険や健康保険に加入すれば、その保険料の半分を会社側が負担してくれるのです。法律で定められているため、必ず半額を負担してくれます。
つまり、社会保険に加入すれば自己負担額を減らすことができるのです。厚生年金保険では、自身が支払った保険料の2倍が支払われているのでそれが給付に繋がるのです。
社会保険に加入しないと全額負担になるので、金額が重くのしかかります、しかし社会保険に加入すれば、自己負担額を減らせるので気分的にも楽になるのです。

 

 

デメリット① 毎月の給料の手取り額が減る

社会保険に加入すれば大きなメリットを受けられますが、同時にデメリットも存在します。デメリットとしてよく挙げられるのが「給与の手取り額が減る」ということです。一番の問題が「103万円と130万円の壁」です。
パートやアルバイトという雇用形態の場合、収入が年額で103万円を超えると「所得税」がかかってきます。これを超えないようにするために働き方を選ぶ方が多くいらっしゃいます。また、妻の収入が103万円を超えてしまうと夫の所得税を計算する際に「配偶者控除」を使うことができず、所得税が増加してしまうのです。結果、手取りの金額が減ることになります。
さらに、パート・アルバイトの収入が年額で130万円を超えると健康保険の被扶養者から外れてしまいます。健康保険の被扶養者から外れることで税金の負担が増加したり、健康保険料や年金保険料が発生してくるのです。結果、給与の手取りが減ることになります。
加えてこの他にパートで働く人に該当する「106万円の壁」があります。106万円の壁とは2016年に社会保険の加入対象の範囲が拡大されたことで生まれたものです。これまで年収130万円以上のパート労働者が対象だった社会保険料の負担が、一部の人を対象として106万円に引き下げられたのです。対象となるのは勤務時間が週20時間以上、従業員501人以上の企業に勤めているといった条件を満たす人が該当します。全国で約25万人以上いるといわれています。
例えば社会保険改正前の場合、106万円の年収でかかる所得税は1500円、住民税は1万500円だったとします。つまり年収は104万円になるのです。しかし改正後は今までかからなかった社会保険料が年間で15万円かかります。所得税や住民税が減っても年収で換算すると90万円になってしまうのです。
これではとても損ですよね。パート収入が増えたとしても実際の手取り額は減っている場合があります。そのため、損しないために、106万円以内に抑えた働き方をする方もいます。

 

デメリット② 配偶者の家族手当が支給停止になる

社会保険に加入すると、配偶者の家族手当が支給停止になる場合があります。この場合はとても損をしてしまいますよね。支給停止になるのは、家族手当の支給対象を「社会保険の被扶養者」と限定している場合です。
この「家族手当」とは、配偶者や子供がいる社員に対して「手当」として支給される福利厚生の一つです。扶養している家族が多い人と少ない人では当然かかるお金が違う為、家族がいる社員の金銭的な負担を軽くするために、安心して働くことができるようにと設けられています。
この家族手当は扶養家族の有無だけではなく、扶養する人数に応じて決められています。子供がいる家庭といない家庭では、支給額も異なるのです。ただし、この家族手当は法律上義務付けられているものではないので、全くないという会社も多く存在します。